この可笑しくも葱くさい世界

アマゾンでハグキの「くりーくん」を検索していたら
目にとまったので買ってみた。
その名も「ラブロマ」。タイトル通り、直球ラブコメ。

登場人物の星野くんが、頑固一徹ならぬ正直一徹でものすごく素敵です。
こんな恋愛、（できないだろうけど）してみたい！と強く想える。
ヒロインは根岸さん…よってあだ名がネギちゃんなので、こう、親近感がわくというか何というか
でも私とは正反対の、まっすぐ自分をぶつけられる素直な良い子なのです。
変にややこしいかけひきが一切ない、すがすがしいラブコメです。

そして笑える。

基本、星野くんがボケて根岸さんが突っ込むんですが
間合いが絶妙です。漫画なのに間合いも何も…というのはもっともですけれども
いやあしかし、ほんと、良質な漫才を見ているような気分になります。
どのお話も全力で、全身で青春を体現しております。

ときどきじーんと胸に響くものがあったり、
けして派手ではない、素朴な作品なんですが　そこがまた良い味です。
絵柄も可愛い。とにかく可愛い。ラブロマ可愛い。
けしてスタイリッシュではないんだけど、その泥臭さが愛おしいんだよなあ。

星野くん大好き。
根岸さんも好き！
どことなくQ.E.D.証明終了の主人公カップル（特に初期）を思わせる二人です。
サブキャラもいい味だしてます。

率直な言葉がこんなにしみるとは。
飾り気のないものほど、まっすぐ届くのかな。

以下、胸がぎゅーっとなったセリフ。

「好きじゃなくってもいいよ。涼ちんの隣にいさせてくれよ」
…マッキーのこの言葉は何度読んでもぐっときます。
この前後の流れもだいすき。「もう水はこわくねー」とか！

「星野くんのこと好きだよ。
　私が星野くんの持ってないものを持ってて
　星野くんが私の持ってないものを持ってるなら
　一緒にいたら丁度いいじゃん。
　無理して別の何かになることないよ。
　ずっと一緒にいようよ」
…このあと星野くんが涙ぐむのがとっても好きです。
そして見開きの根岸さんが本当にかわいい。

「普通って刺激的ね」
そうだよね。そうなんだよね。

「あなたは砂漠を歩いています。
　横にはあなたの一番大切な人がいます。
　二人とも今にも死にそうな位ノドがかわいています。
　そこにコップ一杯の水が現れました。
　あなたはどうしますか？」
「なにソレ？なぞなぞ？」
「ただの例えです。正解はありません。

　俺は一人で飲みほしてしまうと思うんです。
　そんなことしたくないと今は思うけど
　多分一人で飲みほすでしょう。
　でも変われます。
　今はムリでも変われるはずです。
　
　俺　根岸さんに会えて
　変われましたから」
　
そしてこの星野くんの告白を受けて、根岸さんは

「……コップの水はさ……
　半分こにしようよ。
　私も　星野くんとだったら
　そうなれると思う。
　だからこれからもよろしくね」

星野くんは何かと『人間らしさ』について悩むのだけど、
根岸さんは基本すべて肯定して、前に進もうと背中を叩く。
ありふれた言葉で綴られているのに、見せ方のうまさもあいまって
とても印象深く胸に降りてきます。
他にも名シーンは盛りだくさんなので、ぜひご一読をお勧めします。
最終兵器彼女は世界の終末を過ごす二人の恋人を描いていました。
ラブロマのふたりはこう言います。


「銀河系最後の日は　いつもと同じ普通に過ごしたいな」


なんでもないようなことが、しあわせだったとおもう。
そんなホシネギに幸あれ。

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